砂糖への年間支出額で日本一といえば、真っ先に名前が挙がるのが鳥取県です。
しかもこれ、たまたま今年だけの1位ではありません。近年の複数の集計期間で連続してトップに立ち続けているのです。
しかも鳥取市が1位なのは、砂糖だけではありません。バナナにまんじゅう、カニにちくわと、なぜかいろいろな品目で全国トップを独占する"多冠都市"でもあります。なぜここまで甘い物・食べる物に強いのか。地元でどんなお菓子が愛されているのか、そして今いちばん話題のスイーツ事情まで、じっくり深掘りしていきます。
鳥取県(鳥取市)が砂糖の年間支出額日本一である理由
まずはデータから見てみましょう。
総務省統計局「家計調査」の品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2023年〜2025年平均)によると、鳥取市の砂糖への年間支出金額は1世帯あたり1,629円で全国1位。総務省の家計調査を基にしたデータ(食品データ館「GD Freak!」集計)でも、2022年〜2024年平均で1,667円となり、2位の鹿児島市(1,493円)、3位の宮崎市(1,485円)を明確に引き離しての首位でした(出典:総務省統計局「家計調査」)。
実は驚くのはここからです。
2020年単年のデータ(食品データ館調べ)では、鳥取市の砂糖への支出額は1,367円で4位。当時1位だったのは鹿児島市(1,634円)でした。つまり鳥取市はここ数年のうちに順位を押し上げ、首位に躍り出た可能性がある"下克上"の街なのです(単年データと複数年平均データでは集計方法が異なるため単純比較はできませんが、いずれの集計でも上位常連であることは共通しています)。
では、なぜ鳥取市はここまで砂糖への支出が多いのか。実は砂糖だけが突出しているわけではなく、鳥取市は食べ物全般で"1位コレクション"を持つ街です。詳しくは次の章で見ていきましょう。
鳥取市は"多冠都市"。甘い物好きの正体は郷土菓子にあり
鳥取市の「1位」は、実は砂糖だけにとどまりません。
鳥取県公式サイトおよび地元メディア「TOTTORI BUSINESS ONLINE」が総務省統計局「家計調査」の品目別ランキングを基に集計した結果によると、鳥取市は次のように驚くほど多くの品目で全国1位(2017年〜2019年平均・二人以上世帯)を記録しています。
乳製品:牛乳、卵
穀類:食パン、即席麺
魚介類:かに、ちくわ
野菜:もやし
果物:梨、すいか
油脂・調味料:マヨネーズ、カレールウ
菓子類:まんじゅう、スナック菓子
調理食品:冷凍調理食品
しかもこれは一時的なブームではありません。
鳥取県公式サイトが直近データ(令和4〜6年平均など)に基づいて回答した内容でも、かに・梨・すいかは1位を維持、かれい・いわし・即席麺も1位をキープしており、何年にもわたって定着した傾向であることがわかります(出典:鳥取県公式サイト「鳥取市の一世帯当たりの購入数量が全国上位の品目にはどんなものがありますか」、TOTTORI BUSINESS ONLINE「シリーズ『鳥取市の消費量1位』まとめ」)。
さらに2026年には日本海新聞が、鳥取市のバナナ購入額が初めて全国首位に立ったと報じており、"1位コレクション"は今も更新され続けています(出典:日本海新聞「鳥取市民は甘党!?」)。
「支出金額」(家計調査における1年間の購入金額)と「購入数量」(買った重さや個数)のどちらの指標でも複数の品目でトップを取っているのが鳥取市の特徴です。文字どおりの"多冠都市"であり、砂糖の支出額日本一も、こうした食に貪欲な鳥取市民の気質の表れのひとつと言えそうです。
この"多冠都市"ぶりの中でも、特に甘い物にまつわる1位(まんじゅう、スナック菓子など)が目立つ背景には、鳥取県ならではの郷土菓子文化があります。
鳥取県を代表する郷土菓子のひとつが、明治元年(1868年)創業の山本おたふく堂が手がける「ふろしきまんじゅう」。風呂敷の四隅を折りたたんだような独特の形が特徴の和菓子で、鳥取土産の定番中の定番です。
もうひとつの代表格が「因幡の白うさぎ」。地元・大山のバターを使ったしっとり生地で上品な黄身あんを包んだお饅頭で、お土産ランキングでたびたび1位に選ばれる看板商品です。倉吉市の「打吹公園だんご」も見逃せません。小豆餡・白餡・抹茶餡の3色が1本の串に刺さっており、それぞれ「圓(え因幡の白うさぎん)」「縁(えん)」「援(えん)」を象徴すると言われています。
こうした甘い郷土菓子が日常的に親しまれてきたことに加え、お盆に供える「おはぎ」や、残りごはんを無駄にしないために家庭で作られてきた「おいり」など、行事や暮らしの中に甘い食文化が根づいていることも、砂糖の支出額を押し上げている一因と考えられます。
注目のトレンド:鳥取はいま、"プリン聖地"に進化中
郷土菓子だけではありません。ここ数年、鳥取は新たな"甘党タウン"としての顔を見せています。それがプリン専門店ブームです。
鳥取砂丘のすぐそばにある鳥取県初のプリン専門店「Totto PURIN」の看板商品「砂プリン」は、粉末カラメルをかけて食べる新感覚のプリン。鳥取砂丘の砂をイメージした粉末カラメルが、口に入れるとジャリっとした食感を生み出す仕掛けで、全国のご当地プリンランキングで1位を獲得したこともある人気ぶりです。
近くにある夏季限定(4月〜10月)のかき氷店「さんかく氷」でも、砂丘の砂を模した粉末カラメルをのせた「砂プリン氷」が名物になっています。
鳥取県産の新鮮な牛乳や卵、旬のフルーツを使った手作りスイーツを提供する店も点在しており、SNS映えするスイーツ巡りの特集が組まれるほど注目度が上がっています。郷土菓子で培われた"甘い物への情熱"が、いまの時代に合ったプリンという形で新しいブームを生んでいると言えそうです。
訪れるならここ(代表的スポット)
現地でしか味わえない甘さを求めるなら、まずは鳥取砂丘周辺を目指しましょう。
「Totto PURIN」は鳥取砂丘から徒歩圏内という好立地で、看板の「砂プリン」のほか、なめらかプリンや塩キャラメルプリンなど食べ比べが楽しめるラインナップがそろいます。すぐそばの「さんかく氷」は4月〜10月の夏季限定営業で、砂プリン氷を求めて行列ができることもあります。
「ふろしきまんじゅう」を作りたてで味わいたいなら、創業150年以上の老舗・山本おたふく堂の店舗へ。「因幡の白うさぎ」を扱う和菓子店も鳥取市内に複数あり、食べ比べをしながらお気に入りの一品を探すのも楽しみ方のひとつです。倉吉市まで足を延ばせば、「打吹公園だんご」を目当てに打吹公園周辺を散策するのもおすすめです。
おうちで楽しむなら、ふるさと納税も
現地まで足を運べなくても大丈夫です。
鳥取市はふるさと納税の返礼品としても、スイーツ系の品ぞろえが充実しています。
「Totto PURIN」の名物「究極のカラメルプリン【砂プリン】6個セット」は、寄付金額10,000円(執筆時点)で受け取れる人気の返礼品です(出典:ふるなび)。プリンの食べ比べセットのほか、大山エリアの生クリーム大福「MOCHIcube」など、地元食材を活かしたスイーツ系返礼品も豊富にそろっています。ふるさとチョイス・さとふる・ふるさとプレミアムなど主要ポータルサイトでも取り扱いがあるので、旬の時期に合わせてチェックしてみてください。
まとめ
鳥取県鳥取市の砂糖への年間支出額日本一は、単なる家計調査の一項目にとどまらない、鳥取市民の"食べることが好き"という気質そのものを映し出す記録でした。
ふろしきまんじゅうや因幡の白うさぎといった昔ながらの郷土菓子という「地元の物語」と、Totto PURINの砂プリンに代表される新しい「プリン聖地」としてのトレンドが両輪となって、この1位を支えています。
砂糖の消費量だけでなく、バナナやまんじゅう、カニまで日本一という"多冠都市"ぶりを知ると、鳥取のグルメへの見方が少し変わってくるかもしれません。次に鳥取のお菓子を口にするときは、その甘さの向こうにある食文化にも思いを馳せてみてください。
✅出典
- 総務省統計局「家計調査」品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2023年〜2025年平均)
- 食品データ館「GD Freak!」砂糖の家計消費支出 都道府県庁所在都市ランキング(総務省家計調査を基に作成)
- 食品データ館「【都市別】砂糖への支出額・消費量ランキング」(2020年データ)
- 日本海新聞「鳥取市民は甘党!? 全国家計調査 バナナ購入額初首位」
- 東洋経済オンライン「鳥取はなぜ、マヨネーズを日本一愛するのか」
- なっぷ「鳥取のお土産14選」
- じゃらんニュース「鳥取で人気のお土産ランキング19選」
- ふるなび「究極のカラメルプリン【砂プリン】6個セット」
- 鳥取県公式サイト「鳥取市の一世帯当たりの購入数量が全国上位の品目にはどんなものがありますか」https://www.pref.tottori.lg.jp/237757.htm
- TOTTORI BUSINESS ONLINE「シリーズ『鳥取市の消費量1位』まとめ」https://tottori-biz.com/consumption-no1-summarize/
