プリンの年間支出額で日本一の街は、どこだと思いますか?
総務省「家計調査」の最新データで全国トップに立っていたのは、神奈川県川崎市でした。しかも神奈川県といえば真っ先に名前が挙がる横浜市ではなく、県庁所在地ですらない川崎市が首位です。
データを追いかけていくと、この街が「政令指定都市でいちばん若い街」だという、あまり知られていない顔が浮かび上がってきます。日本一の数字を支えているものは何なのか、川崎で実際にプリンを味わえる店まで含めて、じっくり深掘りしていきます。
プリンの年間支出額日本一は神奈川県川崎市
| 順位 | 都市 | 1世帯あたり年間支出額 |
|---|---|---|
| 1位 | 川崎市(神奈川県) | 2,265円 |
| 2位 | 福島市(福島県) | 2,231円 |
| 3位 | 宇都宮市(栃木県) | 2,208円 |
| 4位 | 浜松市(静岡県) | 2,174円 |
| 5位 | 金沢市(石川県) | 2,156円 |
| — | 全国平均 | 1,859円 |
まず、データを確認しましょう。
総務省「家計調査」(二人以上の世帯、都道府県庁所在市および政令指定都市が対象、2023年〜2025年の平均)の「プリン」年間支出金額ランキングによると、川崎市(神奈川県)が1世帯あたり2,265円で全国1位でした。
このランキングがおもしろいのは、顔ぶれが数年単位で入れ替わるところです。
少し前の2020年時点では、栃木県宇都宮市が2,410円でトップに立っており、全国平均の1,639円を大きく上回っていました。当時の上位には、さいたま市・岐阜市・高知市・水戸市といった内陸の都市が並び、神奈川県からは横浜市が9位に顔を出す程度でした。
つまり川崎市は、もともとプリンの街として知られていたわけではありません。ここ数年で一気に首位まで駆け上がった、いわば"下克上"組なのです。
なお、家計調査の「支出金額」は、あくまでプリンの購入にかけた金額です。
単価の高い専門店のプリンを選ぶ家庭が多いのか、買う回数そのものが多いのかまでは、この数字だけでは判断できません。とはいえ、全国の県庁所在市と政令指定都市を並べて川崎市が1位になっている以上、この街にプリンを買う理由があることは間違いなさそうです。
なぜ横浜市ではなく川崎市なのか
神奈川県には、人口377万人を超える横浜市があります。それでも家計調査でプリンの首位に立つのは川崎市です。この差はどこから生まれるのでしょうか。
手がかりは、川崎市がもうひとつ持っている「日本一」にありました。
川崎市総務企画局都市政策部統計情報課がまとめた「2023 統計情報 第5号」によると、令和2年国勢調査時点で、川崎市の平均年齢は43.7歳。全国21の政令指定都市の中で、いちばん若い都市です。65歳以上の人口割合も20.2%で、こちらは政令指定都市の中でいちばん低い数字でした。
さらに、出生数から死亡数を引いた自然増加比率は0.797%で、これは36年連続の政令指定都市1位です。
正規の職員・従業員が働く人に占める割合も60.8%と最も高く、共働きで子育て中の現役世代が集まっている街の姿がはっきり見えてきます。
プリンは、離乳食を卒業したばかりの子どもから大人までが同じ食卓で食べられる、数少ないデザートです。
ケーキほど身構えず、まとめ買いして冷蔵庫に常備できる手軽さもあります。子どもがいる若い世帯が全国有数の密度で暮らす街であれば、家計簿に載るプリンの金額が積み上がっていくのは自然なことでしょう。
もうひとつ効いているのが、買う場所の近さです。
川崎市はJR川崎駅・武蔵小杉駅・溝の口駅と、東京都心と横浜の両方に直結する主要駅が並ぶ細長い市域を持っています。なかでも2006年に川崎駅西口に開業した「ラゾーナ川崎プラザ」は、駅と自由通路で直結する約330店舗の大型商業施設です。
市域面積が111.2㎢と政令指定都市でいちばん狭い川崎市では、こうした駅直結の商業集積が、そのまま日常の買い物動線になります。仕事帰りに立ち寄ってデザートを買って帰る、という行動のハードルが、ほかの都市よりも低いのです。
「日本一若い政令指定都市」と「駅直結の商業集積」。この2つが重なったところが、プリン支出額日本一という記録の大きな要因になっているのかもしれません。
川崎でプリンを味わうなら、この2軒
家計調査の数字は家庭で買ったプリンの金額ですが、せっかくなら現地で味わいたいところです。
川崎市内には、性格のまったく違う2軒の名店があります。
1軒目は、中原区・新丸子駅から徒歩2分の「喫茶まりも 新丸子本店」です。
創業から50年以上、錦鯉の泳ぐ水槽がある昭和レトロな純喫茶で、テレビドラマのロケ地としても知られています。名物は、カラースプレーが散らされた昔ながらのプリンアラモード。近年の"固めプリン"ブームの文脈でも、たびたび名前が挙がる一軒です。
2軒目は、先ほど紹介したラゾーナ川崎プラザの2階にある「千成屋珈琲 ラゾーナ川崎プラザ」。
本店は大阪・新世界にある昭和23年創業の老舗で、ミックスジュース発祥の店としても有名です。その関東初出店が、2020年8月にこの川崎に生まれました。甘さを抑えた固めのプリンにバニラアイスとカラメルを重ねた「ロイヤルレトロプリン」が看板メニューです。
住宅街の純喫茶と、駅直結の商業施設に入った大阪の老舗。この振れ幅の大きさ自体が、東京と横浜のあいだで独自の食文化を育ててきた川崎らしさとも言えます。
なお、営業時間やメニューは変わることがあります。訪れる前に各店の最新情報を確認してください。
神奈川のプリンといえば、ビーカープリンの「マーロウ」
川崎市から少し足をのばすと、神奈川県には全国区の知名度を持つプリンブランドがあります。1984年に横須賀市秋谷で創業した「マーロウ」です。
マーロウの代名詞は、理科の実験で使うような目盛りつきの耐熱ビーカーに入った「ビーカープリン」。
卵の力だけで固める昔ながらの手づくり焼きプリンで、ビーカーから抜くと皿の上に自立するほどしっかりした固さがあります。ほろ苦いカラメルが全体に行き渡る味わいと、食べ終わったあとにコップとして使えるビーカーが、贈りものとして選ばれ続けてきた理由です。
店舗は神奈川県内10店舗・東京都内2店舗の計12店舗。
公式オンラインショップや楽天市場を通じた全国配送にも対応しているため、自宅でその味を試せます。
海沿いの店で相模湾を眺めながら食べるか、取り寄せて自宅の冷蔵庫から出して食べるか。どちらでも、神奈川のプリン文化の厚みは十分に伝わってきます。
お取り寄せ・関連リンク
プリンは冷蔵配送が前提のスイーツなので、お取り寄せとの相性が良いジャンルです。
マーロウのビーカープリンのように公式通販を持つブランドもあれば、Amazonや楽天市場で全国の専門店のプリンを比較して選ぶこともできます。日本一の街の食卓に思いをはせながら、まずは1本試してみてはいかがでしょうか。
価格や在庫は変わることがあるため、購入前に各サイトで最新情報を確認してください。
▼あわせて読みたい(家計調査から見えた日本一)
まとめ
プリンの年間支出額日本一は、神奈川県川崎市。1世帯あたり2,265円という数字は、県庁所在地の横浜市でも、かつての王者・宇都宮市でもなく、この街が今いちばんプリンにお金を使っていることを示しています。
その背景にあったのは、平均年齢43.7歳という政令指定都市でいちばん若い街の姿と、駅直結の商業集積が生む買い物のしやすさでした。プリンという素朴なデザートの支出額が、実はその街に暮らす人たちの年齢構成まで映し出している。統計というのは、そういうおもしろさを持っています。
新丸子の純喫茶で味わうプリンアラモードも、ラゾーナ川崎の固めプリンも、秋谷生まれのビーカープリンも、すべてこの日本一の土台の上にあります。次にプリンをひと口すくうときは、その甘さの向こうに広がる街の物語も、少しだけ思い出してみてください。
✅出典
- 統計局ホームページ/家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2023年〜2025年平均)
- 【都市別】プリンへの支出額ランキング(食品データ館)
- 2023 統計情報 第5号「統計で比較して特徴が分かる」(川崎市総務企画局都市政策部統計情報課)
- 令和2年国勢調査結果(人口速報集計)による大都市比較(川崎市)
- 喫茶まりも 新丸子本店(さんたつ by 散歩の達人)
- 川崎にあるミックスジュース発祥の店2号店!「千成屋珈琲ラゾーナ川崎プラザ」(ハマ・サキマガジン)
- 千成屋珈琲 公式サイト
- ラゾーナ川崎プラザ(三井ショッピングパーク)
- マーロウについて(MARLOWE公式サイト)