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映画・演劇等入場料の支出額1位は東京都。全国平均の約1.9倍を払う街の舞台裏

2026年10月2日

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映画・演劇等入場料の支出額1位は東京都。全国平均の約1.9倍を払う街の舞台裏

映画館で映画をみる、劇場でミュージカルを楽しむ、ライブハウスで好きなバンドを聴く。こうした「観に行く楽しみ」に、いちばんお金を使っている街はなんとなく想像できますよね。そうです。 総務省「家計調査」の最新データで全国トップに立っていたのは、東京都区部でした。1世帯あたりの年間支出額は1万3699円で、全国平均の約1.9倍です。

ただ、「東京なら当然」と思われるかもしれませんが、数字を追いかけていくと、単に1位というだけでは片づけられない記録と、東京のまわりにまで広がる意外な分布がみえてきました。映画館の数という別の統計、そして東京の劇場文化を象徴する街・日比谷の「いま」まで、順番に深掘りしていきます。

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映画・演劇等入場料の年間支出額日本一は東京都区部

まず、データを確認しましょう。

総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2023年〜2025年平均)」の「映画・演劇等入場料」をみると、東京都区部が1世帯あたり1万3699円で全国1位でした。全国平均は7302円ですから、およそ1.9倍を使っている計算です。

上位の顔ぶれは、次のとおりです。

順位市年間支出金額
-全国7302円
1位東京都区部1万3699円
2位相模原市(神奈川県)1万1026円
3位さいたま市(埼玉県)1万713円
4位川崎市(神奈川県)1万579円
5位名古屋市(愛知県)9747円

このランキングの対象は、47の都道府県庁所在市(東京都は東京都区部)と、それ以外の政令指定都市5市を合わせた52市です。

目を引くのは、2位の相模原市と2657円の差をつけていることだけではありません。2位から4位までが相模原市、さいたま市、川崎市と、すべて東京都に隣接する県の政令指定都市で占められています。千葉市も7位、横浜市も9位に入っており、上位10市のうち6市が首都圏の街です。

一方、最下位の52位は松山市(愛媛県)の3152円でした。1位の東京都区部とは約4.3倍の開きがあります。同じ「観に行く楽しみ」への支出でも、住む街によってここまで差が出るわけです。

「映画・演劇等入場料」に入るもの

ここで、品目の中身を確認しておきましょう。名前だけみると映画と演劇に限られているようですが、実際はもう少し広い範囲を指しています。

総務省統計局の「家計調査 収支項目分類表(内容例示)」によると、符号882「映画・演劇等入場料」は「映画,演劇,コンサート,落語などの入場料」と定義されています。例示として挙がっているのは、ディナーショー、歌舞伎、ライブハウスです。また、この区分(入場・観覧・ゲーム代)には、食事代込みの入場料も含まれます。

つまり、映画館のチケットだけでなく、ミュージカルや歌舞伎の観劇、コンサートやライブ、寄席の木戸銭までが1つの品目にまとまっているということです。なお、野球やサッカー、相撲などの観覧料は、別の品目「スポーツ観覧料」(符号883)に分類されています。この数字は、スポーツを除いた「映画・舞台・音楽をみに行くためのお金」と考えるとイメージしやすいでしょう。

12期連続首位。東京都区部は一度も王座を譲っていない

東京都区部の強さは、最新の1回だけの話ではありません。同じランキングの過去の集計をさかのぼると、はっきりした記録がみえてきます。

食料以外の品目をまとめたランキングに「映画・演劇等入場料」が載っている最も古い集計は、2012年〜2014年平均です。そこから最新の2023年〜2025年平均まで、12期すべてで首位は東京都区部でした。

集計期間全国平均1位(東京都区部)
2012年〜2014年平均6453円1万2140円
2015年〜2017年平均6342円1万1657円
2017年〜2019年平均6603円1万2810円
2018年〜2020年平均5327円9835円
2019年〜2021年平均4457円9054円
2020年〜2022年平均3966円7764円
2021年〜2023年平均5247円1万256円
2022年〜2024年平均6358円1万2126円
2023年〜2025年平均7302円1万3699円

※表は抜粋。2013年〜2015年平均、2014年〜2016年平均、2016年〜2018年平均も首位は東京都区部

表を眺めると、2020年を含む集計期間から数字が大きく下がり、2020年〜2022年平均では全国平均が3966円、東京都区部も7764円まで落ち込んでいます。映画館や劇場、ライブ会場が休業や入場制限を強いられた時期と重なる動きです。

注目したいのは、その後の戻り方です。最新の2023年〜2025年平均では、全国平均の7302円、東京都区部の1万3699円ともに、この12期のなかで最も高い数字になりました。落ち込んだ時期も首位は揺らがず、回復した今は過去最高の水準で首位に立っている。まさに殿堂入りと呼べる記録です。

なぜ東京都区部なのか。映画館の数が示す「行ける距離」

では、なぜ東京都区部がここまで強いのでしょうか。家計調査そのものは理由までは示しません。そこで、別の一次統計を重ねてみます。

日本映画製作者連盟がまとめた「全国スクリーン数(2025年12月末現在)」によると、全国のスクリーン数3697のうち、東京都は416スクリーン。都道府県別で最も多く、2位の愛知県(273)を大きく上回っています。

さらにおもしろいのが、シネコン以外の映画館、いわゆる「一般館」の数です。全国の一般館スクリーン392のうち、東京都は82。全国のおよそ2割が東京都に集まっている計算で、2位の兵庫県(28)の約3倍にあたります。シネコン以外の映画館にかぎってみると、東京への集中ぶりはさらに際立っているわけです。

映画館だけでなく、劇場やライブハウスも含めて、観たいと思ったときに電車で行ける範囲に選択肢がある。上映作品や公演の数が多ければ、それだけ「観に行く回数」も増えやすくなります。東京都区部の支出額は、こうした「行ける距離にある選択肢の多さ」を映していると考えると腑に落ちます。

そう考えると、2位〜4位に相模原市、さいたま市、川崎市が並んだ理由も想像しやすくなります。いずれも東京都心へ電車で出やすい政令指定都市です。家計調査が集計しているのは「その街に住む世帯の支出」ですから、支払った場所が都内の劇場であっても、住んでいる市の数字に計上されます。首都圏の上位独占は、東京の劇場や映画館を「自分の街の延長」として使う暮らしの表れなのかもしれません。

東宝発祥の地・日比谷。帝国劇場は3代目へ

最後に、数字の舞台となる街を1つ訪ねてみましょう。東京で劇場といえば、まず名前が挙がるのが千代田区の日比谷・有楽町エリアです。

東宝の発表資料「新・帝国劇場 設計者決定のお知らせ」では、日比谷を「当社発祥の地」と紹介しています。その日比谷からほど近く、皇居に面して建つのが帝国劇場です。

帝国劇場の歴史は1911年にさかのぼります。伊藤博文、渋沢栄一らが発起人となり、実業家・大倉喜八郎の主導で建てられた初代は、日本で初めての本格的な西洋劇場でした。1966年に開場した2代目は、建築家・谷口吉郎の設計です。劇作家・演出家の菊田一夫が掲げた合言葉は「"ふだん着で見られる世界最高の劇場"」でした。数々のミュージカルの日本初演やオリジナル作品の上演を59年間続け、2025年2月をもって再開発のため休館しています。

3代目となる新しい帝国劇場の設計は、建築家の小堀哲夫氏が担当します。建築コンセプトは「THE VEIL」。客席と舞台は現在と同規模を保ちながら、ロビーやホワイエを広げ、有楽町駅側の一角には公演のない時間も一般の人が使えるカフェを併設する計画だと発表されています。劇場を観劇のときだけ訪れる場所ではなく、日比谷の街と一体になった場所にしようという考え方です。

「ふだん着で見られる」劇場を掲げた2代目から、街とつながる3代目へ。1世帯あたり年間1万3699円という数字の向こうには、こうした劇場を日常の延長として使いこなしてきた東京の暮らしがあります。

なお、新しい劇場の計画内容は検討段階のもので、今後変更となる可能性があると東宝は注記しています。最新情報は公式サイトで確認してください。

お取り寄せ・関連リンク

映画・演劇等入場料は、実際に足を運んでこそ生まれる支出です。とはいえ、観に行く前の予習や、み終わったあとの余韻を楽しむ時間も、観劇や映画鑑賞の醍醐味の1つです。

公演のパンフレットやサウンドトラック、原作小説や戯曲を手元に置いておくと、同じ作品を2回目にみるときの発見がぐっと増えます。帝国劇場の休館中は、2代目の歴史をたどる書籍や写真集で「ふだん着で見られる世界最高の劇場」の59年間をふり返ってみるのも一興です。

価格や在庫は変わることがあるため、購入前に各サイトで最新情報を確認してください。

▼あわせて読みたい(東京都区部と家計調査の日本一)

まとめ

映画・演劇等入場料の年間支出額日本一は、東京都区部でした。1世帯あたり1万3699円は、全国平均の約1.9倍、最下位の松山市の約4.3倍にあたります。しかも、ランキングに品目が載る2012年〜2014年平均から12期連続の首位で、最新の数字はこの期間で最も高い水準です。

この品目には、映画だけでなく演劇、コンサート、落語、歌舞伎、ライブハウスまでが含まれます。東京都に全国のスクリーンの1割強、シネコン以外の映画館では約2割が集まっているように、「みたいときに行ける場所」の多さが、この支出を支えていると考えられます。2位〜4位を首都圏の政令指定都市が占めたことも、東京の劇場や映画館を暮らしの延長として使う人の多さを物語っています。

次に日比谷を歩くことがあったら、建て替えが進む帝国劇場の場所を眺めてみてください。東京の人が年に1万円以上を「みに行く楽しみ」に使う理由が、少しみえてくるはずです。

✅出典


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