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【意外なランキング】おにぎり年間支出額日本一は神奈川県川崎市。2期ぶりの王座奪還を支えた"出ていく街"の朝

2026年9月11日

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【意外なランキング】おにぎり年間支出額日本一は神奈川県川崎市。2期ぶりの王座奪還を支えた"出ていく街"の朝

おにぎりに一番お金を使っている街は、どこだと思いますか?米と塩と海苔があればつくれる、日本でもっとも素朴な主食です。

総務省「家計調査」の最新データで全国トップに立っていたのは、神奈川県川崎市でした。
しかも川崎市は、県庁所在地でもなければ、神奈川県といって真っ先に名前が挙がる街でもありません。その横浜市は、同じランキングで17位です。

さらにおもしろいのは、この王座がつい最近まで隣県にわたっていたことです。数字を追いかけていくと、川崎市が2期ぶりに首位を取り返した理由と、この街が抱える「日本一」がもう1つ見えてきました。おにぎりという何気ない品目が映し出す街の素顔を、川崎駅で買える一品まで含めて、じっくり深掘りしていきます。

おにぎりの年間支出額日本一は神奈川県川崎市

まず、データを確認しましょう。

総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2023年〜2025年平均)」の「おにぎり・その他」年間支出金額を見ると、川崎市(神奈川県)が1世帯あたり8,350円で全国1位でした。全国平均は6,164円ですから、その約1.35倍を使っている計算になります。

上位の顔ぶれは、次のとおりです。

順位市年間支出金額
-全国6,164円
1位川崎市(神奈川県)8,350円
2位さいたま市(埼玉県)8,299円
3位相模原市(神奈川県)7,573円
4位水戸市(茨城県)7,138円
5位仙台市(宮城県)7,112円

このランキングの対象は、47の都道府県庁所在市と、それ以外の政令指定都市5市(川崎市、相模原市、浜松市、堺市、北九州市)を合わせた52市です。

驚くのはここからです。1位の川崎市と2位のさいたま市の差は、わずか51円。年間の支出額で51円ですから、月にすればおよそ4円の差です。ほとんど並んでいる、と言ってしまっても良い僅差でした。

そしてもう1つ。3位に入っているのも神奈川県の相模原市です。トップ3のうち2つを神奈川県の政令指定都市が占めている一方で、県庁所在地の横浜市は6,528円で17位。同じ県のなかで、これだけ差が開いています。

なお、家計調査のこの品目に購入数量のデータはなく、公表されているのは支出金額だけです。
単価の高いおにぎりを選ぶ家庭が多いのか、買う個数そのものが多いのかまでは、この数字だけでは判断できません。ただ、52市を並べて川崎市が首位に立つ以上、この街におにぎりを買う理由があることは間違いなさそうです。

「おにぎり・その他」に入るもの、入らないもの

ここで、品目の中身を確認しておきましょう。家計調査の品目名は「おにぎり」ではなく「おにぎり・その他」です。「その他」には何が入っているのでしょうか。

総務省統計局の「家計調査 収支項目分類表 内容例示」によると、符号36B「おにぎり・その他」の内容例示は「おにぎり」「赤飯 山菜飯」の2行だけです。そして、冷凍の焼きおにぎりは別の品目(363 他の主食的調理食品)に分類される、とわざわざ注意書きが添えられています。

つまりこの品目は、店で買ってきた常温のおにぎりと、赤飯や山菜飯といった味つきご飯を指しています。おにぎりの仲間のように思える、いなりずしやまきずしは「すし(弁当)」(36A)に入るため、ここには含まれないのでかなり狭く切り取られた品目だとわかります。

だからこそ、この数字は「その街の人が、おにぎりを買って持ち歩いているか」をかなり素直に映していると言えます。

5年で約1.3倍。おにぎりの支出は全国で伸びている

もう1つ押さえておきたいのが、この品目が全国的に伸びているという事実です。同じランキングの過去の集計で全国平均をたどると、動きがはっきり見えてきます。

集計期間全国平均1位
2018年〜2020年平均4,633円川崎市(5,947円)
2020年〜2022年平均4,814円川崎市(6,155円)
2021年〜2023年平均5,276円さいたま市(7,310円)
2022年〜2024年平均5,749円さいたま市(7,880円)
2023年〜2025年平均6,164円川崎市(8,350円)

全国平均は4,633円から6,164円へ、約1.3倍に伸びています。おにぎり専門店が街に増えたという実感を、統計もはっきり裏づけているわけです。

そして王座の動きです。川崎市は2018年〜2020年平均、2020年〜2022年平均と首位を守っていましたが、続く2021年〜2023年平均と2022年〜2024年平均では、さいたま市に2期続けて首位を明け渡していました。最新の2023年〜2025年平均で、51円差の首位に返り咲いたわけです。

ちなみに2020年〜2022年平均のときも、1位の川崎市6,155円に対して2位のさいたま市は6,143円。差は12円でした。おにぎりの日本一は、ここ数年ずっと川崎市とさいたま市の一騎打ちが続いている、と言ってよさそうです。

なぜ横浜市ではなく川崎市なのか

では、なぜ川崎市なのでしょうか。

神奈川県最大の都市である横浜市を差し置いて、この街がおにぎりで首位に立つ理由はどこにあるのか。手がかりは、川崎市がもう1つ持っている「日本一」にありました。ただしこちらは、あまり自慢しにくいほうの日本一です。

川崎市がまとめた「川崎市の昼間人口 令和2年国勢調査結果報告書」によると、川崎市の昼間人口は134万2,397人。これに対して夜間人口(常住人口)は153万8,262人で、昼夜間人口比率は87.3でした。この数字は、21ある大都市(政令指定都市と東京都区部)のなかで最下位です。参考までに、横浜市は92.5、さいたま市は92.9です。

昼夜間人口比率が低いというのは、要するに「朝になると人が出ていってしまう街」ということです。

実際、川崎市から市外へ通勤・通学する流出人口は42万8,399人。そのうち28万4,169人、6割以上が東京都区部で働くか学ぶかしています。流入人口を差し引いた流出超過は19万5,865人にのぼります。

さらに、その通勤が長い。総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」によると、平日に通勤・通学をした人の平均時間は、神奈川県が1時間40分で全国1位でした。全国平均は1時間19分ですから、20分以上長いことになります。次いで千葉県と東京都が1時間35分、埼玉県が1時間34分と続きます。関東地方が上位を占めるなかでも、神奈川県が頭1つ抜けています。

朝、家を出て東京へ向かう人が政令指定都市でもっとも多く、しかもその移動時間が全国でいちばん長い。この2つが重なる街で、片手で食べられて、かばんに入れても崩れにくく、電車を降りてすぐ口に運べる主食が売れる。おにぎりの支出額日本一という記録は、そういう朝の風景の積み重ねなのだと考えると、腑に落ちるものがあります。

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おにぎりだけではない。川崎市は「持ち出す主食」の街

この見立てを裏づけるように、川崎市は同じ調査のほかの品目でも上位に並んでいます。

  • 調理パン:9,461円で全国2位(全国平均6,869円/1位は東京都区部の10,151円)
  • 主食的調理食品(弁当・すし・おにぎり・調理パンなどの合計):80,929円で全国2位(全国平均67,618円/1位は東京都区部の83,691円)
  • 調理食品全体:180,452円で全国3位(全国平均156,940円)

おにぎりで1位、サンドウィッチやコロッケパンなどの調理パンで2位、そして買って来て食べる主食の合計でも2位。川崎市は、特定の食べものが好きな街というより、「主食を買って持ち出す」という行動そのものが全国有数の強い街だとわかります。

一方で弁当は2万2,125円で14位。ふたを開けて座って食べる弁当より、包みを開けてすぐ食べられるおにぎりや調理パンのほうが、この街の生活スタイルに合っているのかもしれません。同じ「買ってきた主食」でも、順位がここまで違うのは興味深いところです。

川崎駅の朝は、6時にはじまる

数字の話が続きましたので、最後は実際に買える場所の話をしましょう。

川崎市でおにぎりを買うなら、やはり玄関口であるJR川崎駅です。駅ビル「アトレ川崎」には、性格の違うおむすび専門店が2軒入っています。

1軒目は、「おむすび権米衛 アトレ川崎店」。
アトレ川崎の1階、JR川崎駅の中央改札から徒歩1分という立地です。注目したいのは営業時間で、朝6時から夜21時まで、定休日なしで開いています。始発に近い時間帯から店が開いているという事実が、この街の朝の需要をそのまま物語っています。

2軒目は、「ほんのり屋 アトレ川崎」。
こちらはアトレ川崎エキナカの3階、つまり改札の内側です。営業は平日7時から21時まで(土日祝は20時まで)。公式の紹介文では「とことんこだわったお米、海苔、塩、具材を使ってふっくらとむすびました」とうたわれており、惣菜や味噌汁と合わせて買えるのが特徴です。

改札の外で買うか、改札を入ってから買うか。どちらのタイミングでもおむすびが手に入るようになっている駅は、そう多くありません。日本一の数字は、こういう積み重ねの上に立っています。

なお、営業時間やメニューは変わることがあります。訪れる前に各店の最新情報を確認してください。

お取り寄せ・関連リンク

おにぎりは、その場で買って食べるものというイメージが強い食べものです。ただ、家でにぎる場合でも、味を決める要素ははっきりしています。米、塩、そして海苔です。

なかでも海苔は、産地や等級で香りと口どけがはっきり違います。
焼海苔をおにぎり用に一段良いものへ替えるだけで、家のおにぎりは驚くほど変わります。塩も同じで、粒の大きさによって手のひらでのまわりかたが違ってきます。日本一の街の朝を思い浮かべながら、まずは海苔と塩から試してみてはいかがでしょうか。冷凍の焼きおにぎりが家計調査では別の品目に分類されていた、という話を思い出しながら、あえて自分でにぎってみるのも一興です。

価格や在庫は変わることがあるため、購入前に各サイトで最新情報を確認してください。

▼あわせて読みたい(家計調査から見えた日本一)

まとめ

おにぎりの年間支出額日本一は、神奈川県川崎市。1世帯あたり8,350円という数字は、全国平均の約1.35倍にあたります。2位のさいたま市との差はわずか51円、2期続けて明け渡していた首位を取り返しての1位でした。

その背景にあったのは、政令指定都市で昼夜間人口比率がもっとも低いという、川崎市のもう1つの日本一です。42万人以上が市外へ通勤・通学し、その6割以上が東京都区部へ向かう。しかも神奈川県の通勤・通学時間は全国でいちばん長い。片手で食べられるおにぎりが選ばれ続ける理由は、この街の朝そのものにありました。

おにぎりという、日本でもっとも簡素な主食の支出額が、実はその街の人の動きかたまで映し出している。統計というのは、そういうおもしろさを持っています。次に川崎駅を通ることがあったら、朝6時から開いている改札前のおむすび屋をのぞいてみてください。日本一の正体は、案外そこにあります。

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