地底湖の透明度と水深で、日本一の記録を持つのが岩手県です。
その舞台となっているのが、日本三大鍾乳洞のひとつに数えられる岩泉町の「龍泉洞」。しかも一般に公開されている観光コースのさらに奥には、まだ誰も目にしたことのない、もっと深い地底湖が眠っているといいます。
なぜこれほどの透明度・水深が保たれているのか、実際にどこまで見られるのか、現地での楽しみ方まで、じっくり深掘りしていきます(ふるさと納税で自宅にいながら味わう方法はこちら)。
岩手県・龍泉洞が「地底湖の透明度・水深」で日本一である理由
まずはデータから見てみましょう。
岩手県公式サイト「岩手が一番」によると、龍泉洞の地底湖は「第3地底湖は水深98m、透明度41.5m、第4地底湖(未公開)の深さは120mもあり日本一」で、世界でも有数の透明度を誇るとされています(出典:岩手県「岩手が一番」)。
龍泉洞は、山口県の秋芳洞・高知県の龍河洞と並んで「日本三大鍾乳洞」のひとつに数えられる存在です。
1938年(昭和13年)には、洞窟とそこに生息するコウモリ類が「岩泉湧窟及びコウモリ」の名で国の天然記念物に指定されました。以来80年以上、その価値が揺らいだことはありません。まさに殿堂入りの日本一と言えるでしょう。
なぜここまでの透明度が保たれるのか。
その理由は、龍泉洞が石灰岩地帯にできた鍾乳洞だからです。石灰岩は雨水に少しずつ溶かされて洞窟をつくると同時に、湧き出る水を自然にろ過する役目も果たします。奥から湧き出る清水は1985年(昭和60年)に環境省の「名水百選」にも選ばれ、岩泉町の水道水としても利用されるほどの清らかさです。地質という「土地の恵み」が、そのまま日本一の透明度につながっているわけです。
観光コース最深部「第三地底湖」と、未公開の"日本一深い"第四地底湖
龍泉洞は、これまでに確認されているだけで総延長4,088m以上、実際には2.5〜5kmに達するとも言われる規模を持つ大洞窟です。そのうち一般に公開されている観光コースは、入口から約700m。この中に、性格の異なる3つの地底湖が連なっています。
もっとも入口に近い第一地底湖は水深35m。
1998年の潜水撮影で調査された、ライトに照らされたコバルトブルーの輝きが印象的なスポットです。続く第二地底湖は水深38mで、1962年の潜水調査によって発見されました。そして観光コースの一番奥にあるのが、水深98m・透明度41.5mを誇る第三地底湖です。1967年に潜水調査で発見されたこの地底湖は、地球の深淵をのぞき込むような迫力があると評判です。
ここで気になるのが、"日本一"の根拠となっているもうひとつの地底湖の存在です。
龍泉洞には、公開されている3つに加えてさらに4つ、合計7つの地底湖があることが分かっています。なかでも第四地底湖は、深さが120m以上と推定され、これが公式に「日本一」として紹介されている数値です。
ところがこの第四地底湖、実は一般には非公開のまま。1968年(昭和43年)に洞窟探検家による潜水事故が起きて以来、本格的な調査が行われていないため、正確な全容は今もわかっていません。つまり龍泉洞の「日本一」は、すでに公開されている絶景だけでなく、まだ誰も見たことのない未知の深さによって支えられているのです。
ちなみに「地下深さの日本一」というと、青森県の青函トンネル記念館 体験坑道(海面下140m)も知られていますが、こちらは人がつくったトンネル。龍泉洞の第四地底湖は、あくまで自然が生み出した鍾乳洞の中の記録という点で、また違った意外性があります。
龍泉洞で味わう体験(月宮殿・コウモリ・龍泉新洞科学館)
観光コースの見どころは、地底湖だけではありません。
LED照明によって幻想的な雰囲気に演出された空間「月宮殿」は、鍾乳石が織りなす造形美をじっくり味わえるフォトスポットとして人気です。
洞内には、キクガシラコウモリ・コキクガシラコウモリ・モモジロコウモリ・ウサギコウモリ・テングコウモリの5種のコウモリが生息しており、これらも天然記念物指定の対象に含まれています。洞窟そのものだけでなく、そこに暮らす生き物ごと保護されている点も、龍泉洞ならではの特徴です。
龍泉洞の入口から歩いてわずか2分(約150m)のところには、「龍泉新洞科学館」があります。
1967年、観光整備工事の最中に偶然発見された洞窟を活用した施設で、洞内から出土した土器や石器などの考古資料が展示されています。トレーサー調査によると、龍泉新洞は龍泉洞の地下水系がつながる下流部分にあたるといい、龍泉洞で地下に潜り込んだ水が、龍泉新洞の泉としておよそ5分ほどで湧き出しているそうです。龍泉洞と龍泉新洞科学館はセットで観覧できる共通券が用意されており、あわせて訪れると地底の物語がより立体的に楽しめます。
訪れるなら:アクセスとベストシーズン
では最後に、スポット情報です。
・住所:岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉字龍泉洞1-1
・営業時間:10月〜4月が8時30分〜17時、5月〜9月が8時30分〜18時、年中無休
・料金:龍泉洞・龍泉新洞科学館の共通券で、大人1,100円・中学生550円・小学生550円(税込・執筆時点)、未就学児は無料です(出典:龍泉洞公式サイト)。
・アクセス:東北自動車道の盛岡インターチェンジ、もしくは川口インターチェンジから国道455号を経由して車で約2時間ほど。
盛岡駅前からは季節運行の路線バスも出ているので、公共交通機関で向かう場合は事前に運行状況を確認しておくと安心です。
洞内の気温は年間を通じて10度前後に保たれています。真夏でもひんやりとした空気を味わえるため、避暑を兼ねた観光地としても親しまれています。洞窟観光とあわせて自然景観を巡るなら、温泉地の数で日本一を誇る北海道のように、地形の恵みを活かした旅先を組み合わせるのもおすすめです。
おうちで楽しむなら、ふるさと納税も
現地まで足を運べなくても、龍泉洞の清らかな水は自宅で味わえます。
龍泉洞から湧き出た原水をろ過し、非加熱充填した天然水「龍泉洞の水」は1985年に商品化されたロングセラー商品で、岩泉町のふるさと納税返礼品としても定番の人気です。2L×6本のセットが寄付金額7,000円〜(税込・執筆時点)から用意されており、さとふる・ふるなび・ANAのふるさと納税など複数のポータルサイトで取り扱われています(参照:さとふる「龍泉洞の水2L×6本」、ふるなび 検索結果)。毎月届く定期便コースもあるため、ふだんの生活に日本一の水を取り入れてみるのもよいでしょう。
まとめ
龍泉洞の「地底湖の透明度・水深、日本一」という記録は、石灰岩地帯が生み出した清らかな地下水という「土地の恵み」と、1938年の天然記念物指定以来、洞窟とコウモリを守り続けてきた「人の歴史」の両方に支えられています。
観光コースで見られる水深98mの第三地底湖だけでも十分に神秘的ですが、その先には、1968年の事故以来ほとんど手つかずのまま眠る、120m超の第四地底湖という未知の領域が残されています。次に「日本一深い場所」を思い浮かべるときは、すでに公開されている絶景だけでなく、まだ誰も見ていない岩泉町の地底の奥深さも、ぜひ思い出してみてください。現地に行けない日は、龍泉洞の水をふるさと納税で取り寄せて、日本一の透明度を自宅で味わうのもおすすめです。
✅出典


